大判例

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長野家庭裁判所飯田支部 事件番号不詳 判決

本籍 長野県上伊那郡伊那里村大字浦五七番地の二

住居 伊那市大字伊那一、九一六番地

自動車運転者 小松昌計 大正十四年十一月十三日生

主文

被告人を罰金五千円に処する。

右罰金を完納することができない時は、金五百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

一、罪となるべき事実

被告人は昭和二十七年八月から昭和二十九年十月までの間長野県伊那市大字伊那三、一九八番地において、雇入れた接客婦に売淫をさせいわゆる特殊飲食店「松月」を経営していたものであるが、同年七月上旬頃C子(昭和十三年九月二十一日生)を接客婦として雇入れるに際し、その前借金等約金三万五千円を支払つてやつたが、同女が当時十八歳未満の児童であつたため、売淫させることができないので、苦慮していた。ところが、同月中旬頃被告人に対する立替金債権の支払督促のため、同家を訪れた同業者塚田竹治郎が接客婦を求めていたことを知り、右C子を同人方に鞍替させ、その受取るべき前借金を以つて右債務と差引勘定をなし、損失を埋合せようと考えた。そこで、被告人は塚田竹治郎に対し、C子を雇入れるよう交渉して承諾せしめ、即時同所において、児童に淫行をさせる虞れがある塚田に情を知つて同女を引渡したものである。

二、証拠

判示事実は

一、被告人の当公廷における供述。

一、検察官作成の被告人に対する供述調書。

一、司法警察員作成の被告人に対する供述調書二通。

一、検察官作成のC子、塚田竹治郎に対する各供述調書謄本。

一、司法警察員作成の小池忠雄、伊東賢一、福沢もよ、小松さきゑに対する各供述調書。

一、C子の戸籍謄本。

を綜合して認定する。

なお、被告人は昭和二十九年十一月二十九日長野地方裁判所伊那支部において銃砲刀剣類等所持取締令違反火薬類取締法違反被告事件により罰金三万円に処せられ、同年十二月十四日その裁判は確定したものである。右事実は、

一、検察事務官作成の被告人の前科調書。

によりこれを認定する。

三、適条

被告人の判示所為は児童福祉法第三十四条第一項第七号、第六十条第二項、罰金等臨時措置法第二条に該当し、前示確定裁判の確定前に犯したものであるから、刑法第四十五条後段、第五十条を適用し、所定刑中罰金を選択して被告人を主文の刑に処する。右罰金不完納の時は、同法第十八条により主文のとおり換算して労役場に留置すべく、訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項本文を適用して被告人に負担させるものとする。

よつて、主文のとおり判決をする。

(裁判官 山本五郎)

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